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一般社団法人 大津市歯科医師会

歯の知識

口腔ケアと嚥下性肺炎

2016年3月1日

わたしたちが食事をしたとき、食べ物は無意識のうちに気管に入らないようになっています。食べ物が口の中でかみ砕かれ、適当な大きさになってどの奥に達すると、脳に向けて信号が送られます。 その信号を受けて脳は気道をふさぐように命令を出します。その結果、食べ物は誤って気道に入ることなく食道を通って異に運ばれるのです。

しかし、高齢になると、のどに食べ物が入ったと伝える信号が脳に届きにくくなります。また、脳梗塞などで脳に障害があると、気道をふさぐ命令がうまく出せなくなります。そうなると気道が完全にふさがらず食道にいくはずの食べ物が気道の中に流れていきます。通常このような場合、咳き込んで食べ物を追い出そうとするのですが、お年寄は咳き込む力が弱く、口の中の細菌が食べ物と一緒に肺まで達して炎症を起こし、命にかかわることがあります。これを嚥下性肺炎といいます。

嚥下性肺炎の効果的な予防法は大きく分けて2つあります。一つは飲み込むための機能を回復する嚥下体操。もう一つは歯磨きで、口の中を清潔に保つだけでなく、口から肺へ入る細菌を減らすことができます。これを口腔ケアといいます。歯のない人でも同じように食べ物のかすを取り除き、舌や粘膜を清潔に保つことで肺への細菌の進入を防ぎます。楽しい老後を過ごすため、口腔ケアを忘れないようにしましょう。